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遺留分減殺請求手続き

遺留分とは法定相続人に保障された、遺言でも侵害することができない、最低限の相続分のことです。

遺留分を侵害する遺言書が直ちに無効となるわけではありませんので、権利を主張したい場合は、「遺留分減殺請求」の手続きを行い、遺留分の返還を請求しなければなりません。

時効がある
相続の開始及び遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知ったときから1年が過ぎると時効になり、遺留分減殺請求ができなくなります。また、知らなかった場合でも、相続の開始から除籍期間である10年間を経過すると、時効になり消滅します。

手続き方法
時効になっていないかきちんと確認し、遺留分を侵害している者に対して遺留分減殺請求を行います。
通知方法は、期限内に明確に意思表示した証拠を残せるように、遺留分減殺請求書を内容証明郵便(配達証明付)で送ります。
この意思表示が届いた時点で、遺留分を侵害している遺贈、贈与の効果が失われます。
あとは話し合いをし解決を図り、話し合いでも解決が難しいようであれば、調停そして訴訟を検討します。


遺留分減殺請求の順序
遺贈 (贈与は、遺贈を減殺した後でなければ、減殺することができない)

後の贈与 (贈与は相続開始に近いものから)

前の贈与


遺留分減殺請求書(書式例)

平成○○年○○月○○日

受取人
東京都●区
●●  様

差出人
千葉県●市
●●


相続財産遺留分減殺請求書

以下の請求をさせて頂きます。
 私の亡父●●による平成○○年月日付の遺言書には相続財産の分配について明記されております。
 従いまして、亡父の遺言を尊重したいと存じますが、その遺言に従って分配すると私の遺留分が侵害されることとなります。
 つきましては、誠に遺憾ながら本書面をもって、遺留分減殺の請求をさせて頂きます。

以上



参考 民法 遺言執行

1028条(遺留分の帰属及びその割合)
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
1 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
2 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1

1029条(遺留分の算定)
1.遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
2.条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

1030条(遺留分の算定)
贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

1031条(遺贈又は贈与の減殺請求)
遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる

1032条(条件付権利等の贈与又は遺贈の一部の減殺)
条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利を贈与又は遺贈の目的とした場合において、その贈与又は遺贈の一部を減殺すべきときは、遺留分権利者は、第1029条第2項の規定により定めた価格に従い、直ちにその残部の価額を受贈者又は受遺者に給付しなければならない。

1033条(贈与と遺贈の減殺の順序)
贈与は、遺贈を減殺した後でなければ、減殺することができない。

1034条(遺贈の減殺の割合)
遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

1035条(贈与の減殺の順序)
贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする。

1036条(受贈者による果実の返還)
受贈者は、その返還すべき財産のほか、減殺の請求があった日以後の果実を返還しなければならない。

1037条(受贈者の無資力による損失の負担)
減殺を受けるべき受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。

1038条(負担付贈与の減殺請求)
負担付贈与は、その目的の価額から負担の価額を控除したものについて、その減殺を請求することができる。

1039条(不相当な対価による有償行為)
不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、これを贈与とみなす。この場合において、遺留分権利者がその減殺を請求するときは、その対価を償還しなければならない。

1040条(受贈者が贈与の目的を譲渡した場合等)
減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならない。ただし、譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者は、これに対しても減殺を請求することができる。
2 前項の規定は、受贈者が贈与の目的につき権利を設定した場合について準用する。

1041条(遺留分権利者に対する価額による弁償)
受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。
2 前項の規定は、前条第一項ただし書の場合について準用する。

1042条(減殺請求権の期間の制限)
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

1043条(遺留分の放棄)
相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。

1044条(代襲相続及び相続分の規定の準用)
第887条第2項及び第3項、第900条、第901条、第903条並びに第904条の規定は、遺留分について準用する。



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