遺言事項
法定遺言事項以外については法的な拘束力はありませんが、遺言者の希望、意思や心情を伝えることもできます。
身分に関係する遺言事項
- ・認知
- 婚姻(結婚)していない男女間の子を自分の子として認めること
- ・未成年後見人の指定
- 自分が死んだ時のために、未成年の子の後見人を指定しておくこと
- ・未成年後見監督人の指定
- 子の後見人の監督を指定しておくこと
財産処分に関係する遺言事項
- ・遺贈
-
遺贈とは遺産の全部または一部を処分する行為。
相続人ではない人に遺産をあげたい時は遺贈で行います。
遺贈の種類
包括遺贈・・一定の割合を示して遺贈する
特定遺贈・・特定の遺産を遺贈する - ・信託の設定
- 信託法3条2号
- ・寄附行為
- 財団法人を設立する行為
相続に関係する遺言事項
- ・相続分の指定、指定の委託
- 遺留分に関する規定に違反しない範囲で可能。
- ・遺産分割方法の指定、指定の委託
- 遺産分割方法の指定、指定の委託
- ・遺産分割の禁止
- 事業財産を分けたくない場合等は死後5年以内に限って、遺産分割を禁止することができる。
- ・担保責任の指定
- 例えば相続人が取得した車が壊れていた等、財産に問題があったときに、相続人の中から修繕
- ・遺言執行者の指定および指定の委託
- 遺言の内容を実行する人を指定すること
- ・遺贈の減殺割合を指定
- 遺留分減殺請求を受ける場合の減殺の方法を指定すること
- ・相続人の廃除、その取消し
- 財産を与えたくない相続人がいる場合、廃除の取り消しは相続人の資格を回復させる。(家庭裁判所の審判が必要)
- ・特別受益者の持戻免除の意思表示
- 特別受益を相続分に含めないように指定すること
参考 民法
身分に関係する遺言事項
781条(認知の方式)
1.認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2.認知は、遺言によっても、することができる。
839条(未成年後見人の指定)
1.未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。
2.親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は、前項の規定により未成年後見人の指定をすることができる。
848条(未成年後見監督人の指定)
未成年後見人を指定することができる者は、遺言で、未成年後見監督人を指定することができる。
財産処分に関係する遺言事項
964条(包括遺贈及び特定遺贈)
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。
信託法3条2号(信託の方法)
特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第152条2項
設立者は、遺言で、次条第1項各号に掲げる事項及び第154条に規定する事項を定めて一般財団法人を設立する意思を表示することができる。この場合においては、遺言執行者は、当該遺言の効力が生じた後、遅滞なく、当該遺言で定めた事項を記載した定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
相続に関係する遺言事項
902条(遺言による相続分の指定)
1.被相続人は、前2条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。
2.被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。
908条(遺産分割の方法の指定及び遺産分割の禁止)
被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
914条(遺言による担保責任の定め)
前三条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない
1006条(遺言執行者の指定)
1.遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2.遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3.遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。
1034条(遺贈の減殺の割合)
遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
893条(遺言による推定相続人の廃除)
被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
894条(推定相続人の廃除の取消し)
1.被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2.前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する。
903条(特別受益者の相続分)
1.共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2.遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3.被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。